唄三線のある日常。        愛器「二つ星小」          (たーちぶしぐゎー)。         


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三味線店めぐり⑧ 国際通り:アゲイン 6月19日

金城三味線製作所を出ると、いよいよ次の行き先に困りました。
くどいようですが、本日は日曜日。
開いている三味線店はなかなかありません。

車中、私はこんな話を漆畑さんに打ち明けていました。
「妻は、注文制作に不安を感じているようです。」
私の結婚記念三線の代金は、妻が独身時代に貯めたお金で出してもらう
ことになっていました。逆に私も、三線ではないですがプレゼントをしました。

スポンサーの妻が、注文制作を不安がっている。
妻は和裁を仕事にしていた経験があります。
着物も三線ににているようで「値段はあってないようなもの」なんだそうです。
それに、和裁師さんとの相性がとても大切で本当に高級な着物は
三線の高級品のように「注文制作」が多いんだとか。

そんな事情を知っている妻は
「沖縄にいきなり来た人間が、信頼できる職人さんを見つける」
ということの難しさを知っていたのでしょうね。
音の出せる状態の三線を弾いてみて、そこから選んだほうが良い。
と言うのです。


「国際通りの三味線店にも、行ってみましょうか」
漆畑さんが提案してくださいました。
国際通り、観光の中心地です。
ここで三味線店を営業していながら、日曜に休む三味線店は少ないでしょう。

私は前日に漆畑さんが那覇にいらっしゃる前に
一度国際通りを訪れていましたが、そのほとんどの
時間を親戚筋へのお土産購入に費やしていましたし、妻が一緒でしたので
あからさまに三味線店ばかりに行くのも気が引けて
公設市場などを観光していました。
国際通りの三味線店は、今日が初めてです。
雨こそ降ってはいませんでしたが、この日も曇天模様です。

国際通りはジメジメとした熱気と湿気が入り混じった空気でした。


<ブルーシールアイス>

国際通りにはブルーシールアイスのお店があります。
三越の近くですね。
ここで「アイス、食べませんか」
となり、2人でアイスを購入です。

お店でアイスを買い、1軒目の「ちんだみ工芸」を目指します。
…とここで
思わぬ事態が。

曇っていても、沖縄の気温は高いです。
さらに、この日は風の強い日でした。
アイスを買って歩きながら食べていたのですが
熱気を含んだ風に吹かれて、冗談のようにどんどんアイスが溶けていきます。
「やばいやばい。」
国際通りの路上で手に持ったアイスからドロドロと液体を垂らしながら歩く
男性2人…。
今思い出しても、笑いのこみ上げる思い出です。
「沖縄で風が強くて暑い日には、アイスを歩きながら食べてはいけません」
ひとつ、勉強しました。

<ちんだみ工芸>

なんとかアイスにけりをつけて
1軒目。「ちんだみ工芸」です。
私の最初の三線はこのお店で購入しています。
東京の練馬に「東京支店」があります。そこで購入しました。

ここは妻の意見に合致するように、完成した三味線を多く置いています。
店員さんに断って、三線を手に取り弾いてみます。
与那城や久葉ぬ骨、といった型も完成品で置いていました。
私のようにいろんな型を見たい人は訪れてみると面白いです。
音もすぐに出せる状態です。

このお店は三線を仕入れているようです。
お店で三線は作っていませんでした。
私の三線購入の条件として
「できるなら、作っている人から買いたい」
というのがありました。

でも、完成品をすぐ持って帰れるお店。という点では魅力です。


<国際通り三味線店>

ちんだみ工芸をでて次の三味線店へ。
「確かここの一角に…」
と入ったビルの1階に三味線店はありませんでした。
そこの泡盛のお店で聞いてみます。
でも、なんだかうろ覚えのような答えが返ってきました。

とにかく、そちらのほうへ歩いていってみます。
三味線店があるような気配がぜんぜんしません。
そこへゆるゆると走るタクシーが。
声を掛けてたずねてみましたが「わからんねぇ」という返事。

と、そのやり取りを聞いていたのか道の反対側から一人の男性が
「そのお店なら、ここを曲がったマンションの1階です」
と教えてくださいました。
「知らない土地では土地の人に聞く」
というのが私のポリシーです。必ず誰かが教えてくれます。
でもこの時は、運が良かったです。

お店に到着すると店主の手ほどきを受けて女性が三線を弾いていました。
ガラスケースの中の三線を見てみます。よほど良いものなのか、私では
手が出せない金額が付いていました。「これも八重山かなぁ」と。

予算を伝えてみます。
「黒木で、良いものが作れると思います」
と言ってくださいました。

名刺をいただいてお礼を言い、お店を出ます。

<宮里三味線店>

壷屋どおりを少し歩き、焼き物のお店にも入ってみました。
今は沖縄の焼き物も「欲しいなぁ」と思いますが、このときはだめでした。
三味線のことがグルグル頭を回り、焼き物に神経がいきません。

国際通りに戻る途中、市場の中のようなところの一角にお店はありました。
何挺かの三線も並んでいます。
材質のことを聞いてみます。
「黒檀と黒木は違うものだよ」
私にはあまり意味は分かりませんでしたが、店を出た後
「たぶん、カミゲンのみを黒木と呼ぶ」っていう意味なんじゃないかと…。
と漆畑さんに説明していただき、納得しました。

木の分類にもお店ごとで違いが出るようです。
三線は、購入者の側がある程度違いが分かるようにならないと
三味線店での話が理解できないこともあるのかもしれません。
私は、またひとつ勉強させて頂きました。

私の予算で黒木の三線は製作可能で、いつでも相談に乗る。
と言っていただきました。

国際通りには三味線店がたくさんあります。
もう一軒、見てみることにしました。

<ちくてん>

国際通りの楽器店の一角です。
メッシュのラックにホルダーが取り付けられ、三線が何挺も掛けられています。
ここで珍しい型を発見しました。平仲知念です。
店員さんにお願いして見せていただきました。
黒木のものです。手にずっしりと三線の重みを感じます。

他にも黒木の三線が置いてありましたが
私の予算を遥かにしのいでいました。

「優秀な三線工にお願いして作ってもらっている。
品質はAクラスですよ」とおっしゃる。
「良い物を、良い場所で売るという自信の表れ」みたいなものを感じました。

<帰路>

外に出ると、雨が降り出してきていました。
「そろそろ恩納村へ帰りましょうか」
ということになり、車を駐車場から出します。

北部へ向かう道中、私の頭はいよいよ混乱をきたしていました。
どこで買っても、三線は三線です。
でも、すぐに踏み切れない自分がいます。

沖縄に来る前は、三線のことを「楽器」として認識していました。
こういう認識でいる状態では「音・型・形」くらいしか気にならないのですが
沖縄に来て色々な三味線店を見て回るうちに
「三線との出会い方」「その三線のいわれやエピソード」
そして何より「店主との付き合い方」というのが新しく判断基準に入ってきたのです。

今回の「結婚記念三線」は私にとっては間違いなく、一生モノです。
子供にも、孫にも伝えたい。家宝を手に入れる気持ちです。

そんな混乱した気持ちを、漆畑さんに伝えました。
私自身、説明の付かない気持ちをそのまま聞いていただいたので
ちゃんと伝わっていないかもしれません。
「冷静に考えたほうがいいですよ。今回、沖縄から埼玉へ帰ってから
電話で注文してもいいわけですし」
と言ってくださいました。
私の混乱した状況を、よくお分かりです。

混乱をきたしながらも、「冷静に、冷静に…」と自分に言い聞かせ
北部へ向かって車を走らせるのでした。
by niraikanai76 | 2005-12-14 22:04 | 沖縄新婚旅行(三線探しの旅)