唄三線のある日常。        愛器「二つ星小」          (たーちぶしぐゎー)。         


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酔狂歌人流 「いちにの三線~三味線店探訪記」の読み方①

酔狂歌人流 「いちにの三線~三味線店探訪記」の読み方 《序章》


<良い三味線店って、なんだ?>


「あなたにとって、良い三味線店ってどんなお店ですか?」

私が思うに、10人にこの質問をしたら
10通りの答えが…とまではいかないだろうけれど
ある程度分散して答えが返ってくるのではないか、と思っています。

「いちにの三線~三味線店探訪記」
そこにはこんな注意書きがあります。

・「優良三味線店の紹介コーナーではありません。」
・「三味線店のランク付けはしておりません」
・「三味線店の雰囲気をお伝えできればと考えております」


この注意書きの意味するところは、何でしょう?

2005年、私にはこの年の初めから「結婚」以外に
頭を悩ませていたことがあった。「自分にとっての一生モノの三線」の入手である。
購入予定日は6月。その半年以上も前から、
まだ見ぬ自分の三線について悩んでいたのである。

沖縄には、行ったことが無かった。
だから情報源も自ずと限られてくる。
沖縄の三味線店に「直接電話で問い合わせ」なんていう離れ業(そうでもないか)
もやってのけたが、所詮は電話である。

言うまでも無く、沖縄の三味線店の店主は「沖縄の人」である。
実際にやってみるとわかるが、私のような「沖縄の人と会話をしたことがない人」
は電話ではその沖縄的な発音が聞き取れない。
店主が教えてくれることの内容を全て理解できないのだ。

それにやはり電話である。
最終的には「やっぱりお店に来てもらって、見てもらってから判断して欲しい」
という回答を頂くことになる。

そんな中で私が頼りにしたのが
「いちにの三線」の「三味線店探訪記」の記事である。
この記事を頼りに「何とか自分にとって、良い三味線店を探してみよう」
という試みをしてみた。

でも、これには無理があった。
今だからこそ分かる、その理由を2つ述べてみる。

・書き手と読み手の、記事に対する姿勢の乖離。

・私自身の中に「こういう三味線店(三味線)が良い三味線だ」という
 明確なビジョンがまだ無かった。


まず、一つ目。
管理者の漆畑さんは「優良三味線店の紹介」ではなく
「三味線店の雰囲気を伝えるため」に記事を書かれておられる。
私は、「いい三味線店は無いか?」という視点で記事を見ていた。

読み手(私)が書き手の意図と違う視点で記事を見ていたことになる。
これでは私が「しっかり記事を吟味して読めていたかどうか」は甚だ疑わしい。

二つ目
私は沖縄に行く前に「こんな三味線が欲しい」とか
「こういう三味線店で買いたい」というビジョンがあまり無かった。
購入する三線の型ですら、決めていなかったのである。
こういう状態で「三味線店探訪記」を読んでも、自分の「三線探し」
に有益な情報は、得にくいと思った。

本当に、「三味線店のランク付け」は出来ないのでしょうか?
管理者さんは特定の三味線店の紹介や斡旋、ということをなさりません。
どうしてでしょうか?
管理者さんの中には「自分にとって良い三味線店」はあるはずです。
ですが、そのことを声を大にしては紹介されていません。

色んな理由があると思いますが
サイトにも書かれている通り
「自分にとって良いと思う三味線店が、他人にとっても良い三味線店とはいえない」という事が、一番の理由だと思います。
これは私も実際に沖縄の三味線店を回って気づいたことです。
この名言、逆にもできるようです。

「他人にとって良い三味線店が、自分にとって良い三味線店とはいえない」
この逆バージョンは、「いちにの三線」の管理者さんの言葉ではなく、
私が沖縄に行って、実際に三味線店めぐりをしてみて感じたことです。

冒頭の質問に戻ります。

「あなたにとって、良い三味線店ってどんなお店ですか?」

私の思いつくままに列挙して見ます。

・評判のお店・有名店(信頼できる気がする)
・音の良い三線を作るお店
・形の良い三線を作るお店
・いやいや、形も音も良い三線を作るお店
・接客態度の良いお店
・材質の鑑定眼の優れたお店・技術的に信頼できるお店
・値段の安いお店

どうですか?こんなところじゃないかと思いますが。
ひとつひとつ、見てみましょうか。

【評判のお店・有名店】

誰でもどんなものを買うときでも
なるべく「有名なお店(メーカー)」のものが欲しいですよね。
購入時に、安心感があります。
私も、三線購入に関してはこの点は重視していました。

でも、三線購入の際にこの「有名店だから」というのを基準にするのは
難しいと思いました。
何故か?
「有名店」には「有名店たりえる理由」があると思うのです。
その「有名だといわれている根拠」が、あなたの三線を購入するときの
ニーズに合致していれば良いのでしょうけれど、そうでなかった場合は
「有名だから」という理由だけでは、購入には無理があると私は感じています。

逆に「有名であるという根拠」以外の部分で、
そのお店のアラが見つかってしまう場合もあるでしょう。
三味線店は個人経営が多いようですから、
店主の人格がそのまま「お店の顔」になると思います。

そこで店主と、自分の考えが合わなかったり
三味線店の気に入らない部分が見つかってしまったら
俗に言う「ご縁が無かった」ということになるんじゃないかと思います。

「有名店だから、間違いない」という基準は絶対ではないようです。

【音・形】

これはもう、好みは人それぞれでしょう。
自分の思うような音や形を作り出している三味線店に出会えれば
それ以上の幸せは無いんじゃないかと思います。

三味線店に聞いても
「ウチのは全部チュラカーギーだし、音も上等よ~」
という答えが返ってきそうです。
店舗として看板を掲げている以上、それぞれの店主は自信を持っているはずです。

完成品の置いてあるお店であれば、気に入った音を探して
「こんな音が好きです」と交渉できるかもしれません。

私は好きな三線の音がしている民謡歌手のCDを持って行きました。
実際にはやりませんでしたが、最終手段として「店主に聞いてもらおう」
と思っていたのです。

音や形について「こういうのが一番良い」というのは
万人共通ではないようです。

【接客態度の良いお店】

これまた「こういう接客が一番だ」
というのは、人によって違うでしょう。

でも、音・形などに比べたら「気分が良い接客」
というのは、大方誰が見ても意見の分かれるところではないような気がします。

隠さずに言いますが、沖縄の多くの三味線店は「いらっしゃいませ~」
というような「愛想振りまき型」の接客はあまりしていないと思います。

むしろ「お客に冷たいんじゃないの!?」というような感じも、多いです。
これについては次の記事で書きますが、
訪問者が「冷たい」と感じても、店主はとくに「意識して冷たくしている」わけではなく
「自然体」なのだと思います。

私が沖縄へ行った時も
「あえて冷たくしてやろう」
という悪意を持った店主は、いなかったはずです。

こういう「必ずしも、愛想振りまき型ではない沖縄の三味線店」
の接客でも、「どこまで妥協できるか」は人それぞれでしょう。

逆に、こちらが恐縮してしまうくらい接客の丁寧なお店もありました。
三線に限らず、「商品のやり取りに関してはそういう点を一番に重視する」
という人は、オススメです。

三味線店が「個人経営が多い」ということを考えれば
三味線店との付き合いはいわば「人と人との付き合い」となるんじゃないでしょうか。

結局
「この人とは友達になれるけど、この人とは無理」
みたいな、至ってシンプルなものだと思います。
「上手に付き合えそうも無い」と感じた三味線店で、
無理に商談を進めることはないと思います。

人付き合いは、人それぞれです。

【材質の鑑定眼の良さ・技術の良さ】

私が照喜名三味線店にお邪魔したときに
製作者の朝榮さんは、カミゲンの原木を並べて
「これがナンバーワン。で、これが2番。…と、これが3番くらいかなぁ」
と教えてくださいました。

でも、私にはどれがどう優れているのかさっぱり分かりません。
たとえば、この木をそっくりそのまま他の三味線店に持っていったら
(そんなことはできませんが)
「評価がまるで違った」
なんていうこともありえるかもしれません。

私のようなビギナーが、三味線店を見て「この店は材質選びが上手い」
というような判断を下すのは難しいと思います。というか、ムリです。

技術。
これも難しいです。
材質選びの目もそうですが、三味線店という看板を掲げている以上
どのお店の店主も、自信を持っているはずです。
「ウチのは材質も上等、技術も一流だよ~」という答えが返ってきそうです。
音・形の面と似ていますよね。

お店に行ったときに、店主の作った棹があって
それを見たあなたが「とても美しい」と感じれば
「このお店は技術がある」と評価できそうです。
店主と、あなたの美的感覚の一致です。
これは素晴らしいことです。

技術の確かさも、店主を信頼するしかないようです。
ここでも「人と人との付き合い」が顔を出します。

私が沖縄に行って感じたことがあります。
ここで言う「技術」に関することだと思いますので
補足として、書いておきます。

【店主の年齢】

店主の年齢???
「そんなこと、三味線買うのに必要ないだろうが」
と言われてしまいそうですが、存外大切な部分だと私は思いましたよ。

購入者と店主の歳が近ければ、話もしやすいというのは
私も感じましたし。店主との交流の取っ掛かりにもなりやすいと思います。

店主の年齢でなにが分かるのか?
「職人歴」なんていうのも、分かりますよね。
一般的に、職人の世界ではいわゆる「ベテラン」が重宝されがちです。
「熟練工」なんていう言葉もあるくらいです。

「熟練工」というと、なんだか信頼できる気がしませんか?

何年も三線を造り続けている。
それでやってこれている。
これもひとつの判断基準になると思います。

私が見た限りの感想では
熟練工と呼ばれる人たちは、自分の中に「三線はこうあるべき」
というビジョンをはっきりと持っておられる方が多いと思います。


一方で、若い職人さん。
こちらはどうでしょうか?
私が見た限り
「購入者の話を聞く姿勢」
というのが特徴として見られたと思います。
これは「近代的な販売方法」だと思います。

実際にある三味線店のお若い店主から
私はこんな話を聞いていました。

「沖縄に昔からあるサンシンヤーは『これがウチの三線だ』
みたいなところがあって、あまり好ましい態度とはいえないと思う。
三線を買いに来るのはお客さんなのだから、お客さんの
お好みどおりの三線を提供するという姿勢が、大事なんじゃないかと思います。」

さらには
「ウチで買っていただけるのであれば、納得いくまで
そちらのお話を聞かせていただいた上で、どんな三線にするか決めましょう」
と言っていただいたお店もある。

この2例、どちらもお若い店主さんだが
「購入者の話を良く聞こうとしている」
という姿勢が感じ取れる。

若いから、技術がない。とか
熟練工だから、技術は確かだ。とか
そういうことを言いたいのではなくて

三線を作っていただく職人さんに「何を求めるか?」という話である。

熟練工の方は、自分の中にはっきりとしたビジョンがあるだけに
三線にもその特徴が出やすいと思う。
一方、お若い職人さんにも「はっきりしたビジョン」はあるのだろうけど
往々にして、決して押し付けがましくない。

私はお若い職人さんが作った三味線をいろいろなところで何度か弾いてみたが
はっきり言って、熟練工の作った三線との「違い」があまり分からなかった。

尚、この「熟練工と若い職人さんのお話」は
私の感じたことであって、他の方が同じように感じるかどうかは
分かりません。断定でなくて「そういう傾向に、あるのではないか」
という感覚で読んで頂けると、ありがたいです。

さらに、私が沖縄で回った三味線店はほんの一部のお店だと思います。
ですから、私が知らないだけで
「何が何でもお客さんの思うように作る熟練工の方」もいれば
「自分のポリシーをゆるぎなく守るお若い職人さん」
もいらっしゃると思います。

<で、結局どうなんだ??>

またまた冒頭の質問に戻ります。

「あなたにとって、良い三味線店ってどんなお店ですか?」

どうでしょうか?
「いちにの三線」の「三味線店探訪記」が
「優良三味線店の紹介コーナー」と成り得ない理由を
少しでもつかんでいただけたでしょうか?

この記事を読んでいただいて
三味線店を判断する上での基準のそれぞれの項目について
私が「人それぞれ」というのを乱発しましたが、決して小泉首相の真似ではありません。
三味線店について「みんなにとっていいお店だ」と判断するには
万人共通の「良いと思える基準」がないのです。

<妥協を、妥協と思わないでいられるか?>

私は照喜名三味線店で三線を購入しました。
あえてその理由を挙げたいと思います。

・原木との出会いに、運命を感じたから。
・朝榮さんの作った三線に触れ、弾いてみて惚れ込んだから。
・「34年作ってきて、まだまだだと思っている」
と話してくれた朝榮さんの姿勢がが素晴らしいと感じたから。
・言葉では言えない、朝榮さんとの相性(怪しいですか?)

一方で、「照喜名三味線店、もう少しこうなれば…」
という部分も、あえて書きます。私の希望です。

・カラクイなど、小物類ももう少し置いて欲しい。
(置いてあったのは「スイムディ」の一種類だけ。私の三線にも
これが付けられていた。もう少し置いてあればいろいろ選びたかった。
ティーガーは、何種類かあった)

・雰囲気的に、お店に入りづらいのですが…

これは改善されれば、私の「理想の三味線店」になるのですが
お店側に要求すべきことでは、ありません。
私が妥協するところです。
もっとも「妥協したのだ」とも、あまり思ってもいないのですが。

上記のさまざまな「三味線店選びの基準」に
さらに個人個人が「どこまで妥協できるか?」を付け加えてしまったら…
それこそ、「何通りもの三味線店選びの基準」が出来てしまいます。

「いちにの三線」の「三味線店探訪記」
三味線購入を考えている人にとって
「私の行きたい三味線店は、こういうお店だ」
「私の欲しい三味線はこういう三味線だ」
明確なビジョンが出来上がっている方には、とても優れたガイドになってくれると
思いますよ。
あとは、ご自分の目と耳で確かめるだけです。

一方、ビジョンが出来上がっていない方は…
純粋に、三味線店探訪記事を楽しませていただきましょう。
実際に、沖縄へ行った時に
やはりご自分の目と耳で、確かめてみましょう。

…って、やっぱりオチはどちらも、そこなんです。

注:この記事は「いちにの三線」の管理者さんでいらっしゃる
   漆畑さんに許可を頂いて書いているものです。

注2:この記事は「いちにの三線」自体、そして
   そのサイトに登場する三味線店を批判するものではありません。

注3:「不適切だ」と思う表現がございましたら、お教えください。
   修正検討させていただきます。
by niraikanai76 | 2006-01-09 20:34 | 唄三線