唄三線のある日常。        愛器「二つ星小」          (たーちぶしぐゎー)。         


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美容院にて

私の行きつけの美容院がある。
このお店は地元でも老舗の「美容チェーン」のうちの一店舗。

このチェーンにはA店・B店・C店・D店と4つのお店がある。
私は最初、A店に通っていた。そこの私と同い年のK美容師さんがお気に入りである。
このA店に初めて行ったのは24歳くらいのときだろうか。
もう、5年くらい前である。私がお店と顔なじみになったころ
見習いのM君は入店してきた。
私より年下の20歳だと言っていた。

M君は、お世辞にも器用と言えるようなタイプの人ではないと
会った時から思ってはいたが、やはりその通りだった。
表情や、動作もいつまで経っても頼りなさそうだった。

何回か通ううちにM君と同期入社の他の若手が、
シャンプーやマッサージといった「お客さんと直接関わるサービス」
をどんどんやりだしているのに対して、M君はいつもエプロン片付けや
理髪道具の整理などをやっていた。さらには、時折私の髪を切っている
K美容師に目で呼ばれて、耳元でささやくように注意を受けているのを
目撃したのも、一度や二度ではない。

「この人、美容師としてちゃんとやっていけるのかな。
途中で、挫折するのでは?」というのが私が初めてM君に会った時の印象だった。

さらに通ううちに、M君はシャンプーやマッサージをやるようになっていた。
それでも頼りない様子や、K美容師の「注意」も変わらず見られた。
私がお店に行った日に、M君にシャンプーをしてもらったが
お世辞にも「手際よい」とは言えなかった。

だが、M君のシャンプーはものすごく丁寧なのである。
ここの美容チェーンは、地元では根強い人気があり
チェーンの4つのお店はどこも、いつもお客さんでいっぱいなのだ。
だから、新人のシャンプーも「いかにも慌てています。」
というような感じを受けることも、ままあった。
でも、M君はどんなに忙しくても「ゆっくり丁寧に」をモットーに
シャンプーをしていたのだろう。
お客はシャンプーをしてもらえば、見習いさんとも会話もする。
「シャンプーが、丁寧ですね。」
と私が言うと
「いや。もっと手際よくやれ。といつも叱られます。
でも、僕は器用じゃないのであまり急ぐと雑になるのです。」
と笑っていた。

それからしばらくして、K美容師がB店に異動になった。
私もK美容師のいるB店に行くようになり、A店ともM君とも
疎遠になった。
でも、私は心のどこかでM君を気にしていた。

A店は、繁華街の通りに面して店を出しているので
通りを歩くとお店の中が見える。
A店の前はお店に行かなくなっても、お店の前は通るので
たまーに、中の様子を見てみたこともあった。
M君は、まだ頑張っていた。
しかも、同期の人が髪を切り始めているのに
M君は、まだシャンプーをしていた。さらに、同期の補助までやっていた。

そして、おととい。
いつも行っているB店が定休日だった。
日をずらす。というのも出来るが、妻の出産が近い今の状況では
仕事以外になるべく用事は入れたくない。
だから、久しぶりにA店に行くことにした。

M君と初めて会ってから、実に5年の月日が流れていた。
M君は…なんと髪を切っていた。
さらには「副店長」になったとのこと。

この日、私の髪を切ってくれたのは店長のH美容師という
別な美容師さんだったが、私の目は他のお客の髪を一生懸命にカットする
M君に釘付けになった。
頼りなかった風貌はもう微塵も無く、後輩に颯爽と指示していた。

H美容師との会話。
「ここは久しぶりなんですよ」
「どうですか。お店の様子は変わりましたか。」
「ええ。彼は、カットするようになったんですねぇ。」
「はい。下の人間も、成長してくれていますから。」

M君も、私のほうに向き直り
「お久しぶりです。」
と朗らかに笑った。

M君が、持ち場を離れた後。
H美容師はこんな話をしてくれた。
「彼は、このチェーン一番の努力家なんですよ。
お店から帰るのも、いつも一番最後なんです。
私の自慢の後輩です。」

聞けば、見習いさんも新人さんも
だれでも美容院の営業終了後も、お店でカットなどの勉強をするという。
通常は、後輩が入ってきたり新人が入ってきたりすると
「新人は一番遅くまで残る」という暗黙のルールがあるらしい。
けれどもM君の場合は、後輩が出来て「副店長」になった今でも
誰よりも、一番遅くまで残って勉強しているのだという。
だから、本来後輩がやるべきお店の掃除も
M君がいまだに全部こなしているのだとか。


M君、ありがとう。
君のおかげで私は、
「ひとつの事をやり続ける素晴らしさ」
「努力することの素晴らしさ」
をテレビでも映画でも小説でもなく、この目でじかに見ることが出来ました。

今度は、私の髪をカットしてくれませんか。
by niraikanai76 | 2006-02-02 21:54 | ひとりゆんたく