唄三線のある日常。        愛器「二つ星小」          (たーちぶしぐゎー)。         


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三味線店めぐり④仲嶺三味線店(那覇市)

国際通りは思っていた以上に長い。

パレット久茂地方面と反対側の終点「安里」。
そこから道を反対側に渡り、ユイレールの駅方面に行くと「仲嶺三味線店」はあった。
青い看板。狭い間口。

外からお店の中を覗くと人影が。
どうやらお店は営業中らしい。
扉を開けて中に入ると、私と同年代と思われる職人さん。
そしてなぜか宅配中であろうと思われるバイクのヘルメットを被ったままの女性。

「埼玉から、三味線を見せていただきに来ました。購入するかどうかわからないんですが」
と伝えると、「あ~。どうぞどうぞ。今ですね、店主は不在ですが、ゆっくり見ていってくださいね」
と言ってくださった。

お店に伺ったいきさつ、以前に電話で三味線について問い合わせをしていることなどを
伝えるとその職人さんは「店主を呼びましょう」といってくださった。
お話を伺うとこの方は店主のいとこに当たるかたで、三味線に興味を持ち店主とともに仕事をされているらしいことも教えていただいた。
早速、電話してくださるらしい。
「…あ、ミーキー?今ね、お客さん来てて。わざわざ内地から来てくださってるの。
出てこれる?」
「…え?パンク?…うん、気をつけてね」

聞けば店主は今浦添にいて、スクーターのタイヤがパンクしているのでもうちょっと時間が掛かるとのこと。
店内には棹も数多く置いてあり、完成品も何挺かある。
店主の到着まで、これらを見せていただきながらお話を聞こう。

完成品は真壁型が多かったが、一挺、珍しい型が。久葉ぬ骨型である。
「触ってもいいですか」というと快諾してくださったので、ポロポロと弾いてみる。
繊細な音がする。昨日、さんしんの松田さんで音が気に入った三線は真壁型であった。
それに比べると、かなり棹も細い。安物ではあるものの、私は自分がもっている真壁の太さに慣れていてこの久葉ぬ骨は弾きづらい気がした。たぶん、慣れの問題なのだとは思うが。

「その久葉ぬ骨は、お客さんからの注文の品なんでお売りはできないんですけど」
なんと、もう持ち主の決まっている三線を弾かせて頂いた。恐縮である。
そんな品をあまり長い時間触らせてもらうのは気が引けてしまうので、
お礼を言って棚に戻した。
壁に掛かっている完成品でない棹を見せていただいた。
なんと、知念大工型が多い。これも珍しい型で、聞くところによると
これだけの数の(たしか3~4本)成型の終わっている
知念大工型を置いている店は少ないという。
沖縄の三味線は真壁型が主流で、完成品でも棹だけでも真壁型がどのお店でも一番多く置いてあり、その他の型はなかなか実物を見るのは難しい場合が多い。とは聞いてはいたので
少しびっくりした。

「店主がですね、好きなんですよ。知念大工を作るのが」
と教えてくださった。
「これは…」と壁から一本とって見せてくださった。
型は知念大工。しかし、ほかの知念大工とはぜんぜん違う。
手にとらせていただくと、異常に太くて大きい。
大げさなようだが野球のバットか棍棒のようだった。

「Big知念大工です(笑)
お客さんの要望で注文で作ったんですけどその人、取りに来ないんです」という。
「沖縄で三味線屋をやっているとそんなことが、ままあります。嫌がらせですよね(笑)
他に売ろうと思っても、これじゃあ…。そちら、買いませんか?(笑)」と笑う。
もちろん、丁重にお断りさせていただいた。

こんな会話ができたのも、この職人さんと私が同年代だったから。ということもあるだろう。
後から感じたことだが、この仲嶺三味線店が実は一番話がしやすかった。
年代が近い。という安心感。あっという間に砕けた雰囲気になれるのだ。
妻も楽しみながら私も楽しみながらお話させていただいた。

そんな会話をしているうちに店主が到着。
聞けば店主は私と同じ1976年生まれ。同い年である。
自然と話が進む。本土と沖縄。遠く離れた土地の小学生時代に流行ったものの話でお互い驚いたりしながら、話は三味線に。

この店主とお話させていただいて私が感じたことだが、非常に勉強しておられる。
それに、とてもバランスの取れた考え方をされる方である。
「沖縄では古典をやっている人が民謡をこばかにしたりすることがある。
逆に民謡の人が古典を見下すようなことを言ったりすることもある。
でも自分は、どっちもやってみた上でどちらのどこが優れているか、またどういうところが
改善の余地があるのかを検討するのが筋だと思う。
どちらかひとつしかやっていないのに、もう片方のことを悪く言うのはちょっと違うと思う。」
こんなことを話しておられた。

三線作りでも同じで、職人というのものは三線職人に限らず
「このやり方が一番だ」となりがちらしい。
良く「職人としてのプライド」と例えられる部分だろう。
しかしこの部分においても、この店主は「冷静でありたい」とおっしゃる。

「このやり方はここが良いけどこういう部分では少し劣る。
こっちのやり方はここでは劣るがこういう状況下ではいい結果を生む」
など「自分でやってみた上で説明のできる職人になりたい」
とおっしゃっていた。
私はその勉強熱心な姿勢と、とてもバランスの取れた考えにすっかり心服してしまった。

「昔の文献を調べると…」
と切り出しながら教えてくださったのは、昔の蛇皮の張り方と胴の内側の彫り細工についての
店主なりの考察だった。
琉球王朝時代、蛇皮の輸入は数年に一回、ごくわずかであったらしい。
その数から計算すると、1年に生産できる蛇皮張りの三線は数挺のみ。
破れる可能性のある蛇皮の三線。
あまりに貴重な蛇皮をそんなにパンパンにきつく皮は張れない。

「だから昔の職人は胴の内側に細工の彫刻を施して、緩い張りの胴でもなるべく鳴るようにしたのではないか。」
「緩い張りの為の彫刻だと自分は考えている。だから、今でも彫刻入りの胴は販売されているが、蛇皮がすぐ輸入できてパンパンに張れる今の三線の状況には合わないのではないかと考えている。その為に今、胴をいろいろ彫って試している。」
と教えてくださりながら、私の目の前に皮の張っていない胴を差し出す。
「昔の胴の、レプリカです」

正直、ここまで追求していらっしゃるのには感服してしまった。
自分のような三線素人が聞くにはもったいないお話ばかりだった。
同年代にして魅力的な店主。
「もし、うちで三線を作っていただけるならそちらがご納得頂けるまで、話を詰めましょう」
と心強いお言葉もいただいた。

それから三線の話や世間話を行ったり来たりしながら、楽しい時間をすごさせていただいた。
ふと壁の時計に目をやると、時間は午後4時を大きく回っていた。
空港へ向かわなければならない。
「大変貴重なお話をどうもありがとうございました。今からちょっと用事があるんで、また伺います。まだまだ沖縄にはいますので」
とお礼を言って店を出た。

店を出た後、妻が「仲嶺さん、とても男前だったねぇ。かっこいい人だったねぇ」
としきりに褒めていた。
by niraikanai76 | 2005-12-04 23:21 | 沖縄新婚旅行(三線探しの旅)